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えーっと、すみません。
医者パロである必要性が全く無かったロイエドができました。
オカシイなぁオカシイなぁ......目逸らし



 



「エルリック先生」
コツコツと階段を上る足音と共に掛けられた言葉に俺は振り返る。
先ほどまで窓の外を眺めていた所為か、目が慣れるのに暫しの時間を要した。
「ホークアイ先生?」
「良かった、ここに居らしたんですね」
首を傾げた俺に、彼女は安堵の溜め息を漏らした。
ちなみに俺の勤務時間は既に終了している。
…………急患だろうか?
俺の疑問を他所に、彼女は淡々と用件を述べる。
「実は明日から新しく配属される先生がご挨拶に来られてるんです。エルリック先生がまだ居らっしゃったらと思って」
その言葉に納得した。確かに明日から新しく医師が来ると副院長が言っていた。
しかし、部署も違うし俺には関係ないと思ってたんだけど、違ったんだろうか?
「俺に?」
「実はその先生、あの論文の作者なんですって」
「ええ!?マジでっ!!?」
こっそり耳打ちされた内容に俺は飛び上がって驚いた。あの論文ってのは、難しい事は端折るとして、今まで未知の病気で治療方法は疎か、進行を遅らせる事さえできなかった難病に対する物で、マウス実験とはいえ病気を進行を30%も遅らせる事ができたという物だったのだ。
その論文は医療界に激震が走った。特に内科医である俺は本当にビックリして、次いで嬉しくて何回も何回もその論文を読み返した。
「………エドくん」
「あ…………ゴメン、リザさん」
やっちまった。実は俺もリザさんも院内では敬語&名字読びで過ごしてるけど、元々知り合いで仲が良かったりする。
あ、勘違いしないでくれよ。リザさんにはちゃんと恋人が居るんだからな。
俺?俺はそんな事に興味はない。
恋人作ってる暇があるなら論文の1つでも読むぜ俺は。
ってそうだ、論文で思い出した。
「で、リザさん!その先生は!?」
わくわくと心が躍る事が止められず、リザさんに聞けば、彼女はクスクスと笑う。
「医局に居るわ。どうもヒューズ先生と知り合いみたいなのよ」
「ヒューズ先生と?」
「今夜、こっそり歓迎会するらしいから一緒に行って聞いてみればどうかしら?」
パチンとウィンクした彼女は颯爽と医局に向かう。うーん、格好良いぜ。俺もリザさんみたいになりたいな。



「失礼致します」
医局の奥の更に奥、院長の許可なしでは入れない部屋の扉をリザさんが入室する。
あ、なんか俺、今更ながらにドキドキしきた。
「おーぅ、リザちゃんお帰りー」
「ヒューズ先生」
聞こえて来た軽い声にリザさんは眉を顰め、俺は脱力する。
「まぁまぁ堅い事言わずにさ、座った座った。で、エドは?」
「居るよ」
「良かった、まだ帰ってなかったんだな!!お前も座れ紹介すっからよ!!」
ヒューズ先生の視線の先に居た男に、俺は一瞬にして目を奪われた。
真っ黒な髪に同じく真っ黒な瞳。意志の強そうな瞳だと思った。
「ロイ、紹介するぜ。こっちの美人が、リザ・ホークアイ医師。脳外科の主任医師だ。で、こっちの生意気そうなのが、エドワード・エルリック医師。内科の主任医師だ。で、コイツが、ロイ・マスタング。俺の親友で例の論文の作者。偏屈で頑固な奴だが、良い奴だぜ!!」
…………ヒューズ先生の大雑把な説明に、何とも言えない空気が医局内に漂う。
「あー、コイツの言い分は無視してくれ。ロイ・マスタング、明日からこの病院の外科の医師として勤務する事になった。どうぞよろしく」
「ひっでーなーロイちゃんよー」
「煩い、黙れ」
親友ってのは本当らしい。遠慮のない言葉の応酬に俺は笑ってしまった。
コレが俺と奴の出逢い。
懐かしむ程の時は経っていないのに、懐かしいと感じてしまうのは、あの時と今では立ち位置が全然違うからなんだろうな。
「何を考えてるんだね?」
どこか拗ねた様な響きの声と共に腰を引寄せられる。柔らかなソファーの肘掛け部分に座っていた俺は、引寄せた奴の膝の上に座らされる。その体勢が些か不本意で、返す言葉が素っ気なくなる。
「別に」
「直ぐ側にいる恋人の声も聞こえなかった癖に」
どうやら拗ねた様なではなく、拗ねているらしい。飲み物の入ったグラスをテーブルに置いた奴は、その空いた手で俺の顎を捕える。非難の眼差しにクスリと笑い、俺からキスしてやったら驚いたアンタの瞳。その事に満足して離れようとしたら逆に後頭部を引寄せられた。
「………ん…………ふっ」
自分の物とは思えない甘ったるい声が漏れる。恥ずかしいと思う反面、その声に瞳を細めるアンタが堪らなく好きで翻弄される。
「ロイ」
キスの合間に名前を呼べば、アンタは嬉しそうに笑う。犬みてぇ。戯れなキスを交わしながらも身体に這わされる手。息継ぎの合間に落とされる愛の囁き。そのどれもが俺を溶かしてゆく。
もう何も考えられなくなった頃、再度同じ事を問われる。
「で、何を考えていたんだね?」
よっぽど気になってるらしい。その事に、クスクスと笑いが漏れる。再び不機嫌になる前に、俺は両手を奴の首に絡めた。
「…………もう一回」
「?」
「もう一回キスしてくれたら教えてやるよ」
そう言ったら、またアンタの瞳が細められた。優しくて獰猛な俺の好きなアンタの瞳。
押し倒されるソファーの上で俺はアンタを思う。

夜はまだ長い。





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